スマホ決済をはじめとするマネー・決済系サービス。2018年頃から各社キャンペーンや政府によるマイナポイント施策により広がりをみせています。こういったサービスがどれほど普及しているのか、使い始めたきっかけなどを全国の約56万人に聞いてみました。2018年からの定点調査の結果と比較しながらみていきましょう。

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◆Topics◆

1.スマホ決済の認知は8割。すべての年代で認知率が上昇傾向
2.約半数がスマホ決済を利用。個人間送金、投資アプリの利用率は昨年の2倍に
3.店頭での支払い方法はスマホ決済が大躍進。2年前と比較して3倍強の伸び
4.スマホ決済の利用頻度は「昨年よりも増えた」が7割
5.スマホ決済サービス選びで重視する点、年代によって違い

1.スマホ決済の認知は8割。すべての年代で認知率が上昇傾向

代表的なマネー・決済系のサービスについて、内容まで知っているかどうかを聞いたところ、「スマホ決済」の認知率は全体で8割。消費増税に伴う施策により認知が広がった2019年ほどの伸びはみられませんでしたが、4ポイントの上昇がみられました。
一方、「個人間送金サービス」の認知率は45%で、2年前の2018年から1.5倍に伸びています。年代別にみると年代が下がるにつれて認知率が高くなり、20代で最も高くなっているのも特徴的です。PayPayやメルペイなどによる個人間送金サービスにより認知が広まってきた可能性が考えられます。
また、「投資ができるアプリ」も2019年から6ポイント上昇して3割強となっています。コロナ禍により株などの投資や資産運用への興味が高まったのかもしれません。

1_全体_サービス認知率

全体では8割と高い認知率となった「スマホ決済」について、男女や年代で認知率に違いがあるか詳細をみてみましょう。
最も認知が高いのは女性20~30代の84%となっており、 全体的に女性のほうが男性よりも認知率が高い傾向にあります。2019年からの推移では、すべての年代で認知率が上昇しており、特に男性20代で7ポイント、女性50~60代で5~6ポイントの上昇がみられます。
新しい生活様式として政府がキャッシュレス決済を推進していることや、マイナポイント、店頭での各社のキャンペーンのポスターなど、2020年はキャッシュレス決済について見聞きする機会も多く、様々な場面で認知が高まったことがうかがえます。

2_性年代別_スマホ決済認知率


2.約半数がスマホ決済を利用。個人間送金、投資アプリの利用率は昨年の2倍に

認知率が上昇した各種サービス。では、実際に利用している人はどのくらい増えたのでしょうか。
調査の結果、「スマホ決済」の利用率は昨年から10ポイント上昇し、51%と約半数の人が利用していることがわかりました。認知率の伸び (4ポイント) と比較しても大きく伸びており、2020年は『「スマホ決済」を使うようになった』という人が一定数いたことがわかります。
また、「個人間送金サービス」と「投資ができるアプリ」についても、全体でみると利用率は高くはないものの、昨年からみると2倍となっています。
年代別にみると「個人間送金サービス」の利用は全年代で伸びていますが、特に20代女性の伸びが顕著です。また、「投資ができるアプリ」の利用率は男性30代で14%と他の層と比較して高く、昨年から7ポイント上昇しています。それぞれ、これらのサービスを利用する機会や興味関心のある年代なのかもしれません。

3_全体_サービス利用率


スマホ決済の利用率について、性年代別の詳細をみてみると、すべての性年代で上昇していますが特に男性20代、女性20~30代と60代で昨年から9~13ポイントの上昇がみられます。

4_性年代別_スマホ決済利用率

スマホ決済を利用しはじめたきっかけを聞いたところ、「ポイントを貯めたいから」「キャンペーンをやっていたから」といったお得な情報がきっかけになったという意見が多くみられました。
他にも、「スムーズに支払いができそうだから」「現金を (多めに) 持ち歩くのが嫌だったから」といったスマホ決済特有の利点も、理由の上位に。
利用率の伸びが大きかった男性20代では「現金を (多めに) 持ち歩くのが嫌だったから」「お金の管理の手段として」と回答した人が、女性20代では「家族・友だち・知り合いなどからすすめられて」「スムーズに支払いができそうだから」と回答した人の割合が他の層よりも高い傾向でした。

3.店頭での支払い方法はスマホ決済が大躍進。2年前と比較して3倍強の伸び

ふだんの店頭での支払い方法について聞いたところ、「現金払い派」は2年前の2018年から12ポイントの減少となりました。昨年からは特に男性40代、女性20代と60代で減少がみられました。
一方、「スマホ決済派」は昨年からも大きく上昇し、2018年からみると3倍強に増えています
特に男性30~50代、女性20代と60代で昨年から10ポイント以上の伸びがみられることから、これまで支払いは現金派だった人たちが2019年頃から徐々にスマホ決済を使うようになったのかもしれません。

5_全体_店頭での支払い方法


4.スマホ決済の利用頻度は「昨年よりも増えた」が7割

ふだんスマホ決済を利用する人に、昨年からスマホ決済の利用回数がどう変化したかを聞いてみました。
全体では7割の人が「非常に増えた/増えた」と回答。「変わらない」は2割、「非常に減った/減った」人は4%程度でした。また、「今年から使い始めた/去年 (2019年) は使っていなかった」という人も4%いることがわかりました。
「非常に増えた」と回答した人は年代が下がるほど割合が高くなる傾向にあり、20~30代で4割を超える結果に。60代では「非常に増えた」は他の年代より少ないものの「増えた」の割合が約4割と多くなっています。スマホ決済は、利用率も、利用回数も増加傾向にあるようです。

6_年代別_昨年と比較したスマホ決済利用回数の変化

昨年よりスマホ決済の利用回数が増えた人の理由について、最も多かったのは「ポイントが貯まるから」。スマホ決済を使い始めたきっかけの質問でも「ポイントを貯めたいから」という理由がトップでしたが、利用回数が増えた理由も同じ結果になりました。
2番目に多いのは「使えるお店が増えたから」。各スマホ決済サービスの対象店舗拡大に伴い利用できる機会が増え、利用回数も増えたといえます。
「スムーズに支払いができるから」「手もとに現金がなくても支払いができるから」も上位にランクイン。「財布がかさばらない/持ち歩かなくてよくなるから」といった、多くのものを持たずに身軽で出かけられることにメリットを感じる回答もみられました。「なるべく現金や財布を触りたくないから」「支払いの時に、人との接触を避けたい/避けられるから」もそれぞれ1割強。店頭での支払いシーンも、少なからずコロナ禍の影響を受けているようです。

7_全体_スマホ決済が増えた理由


5.スマホ決済サービス選びで重視する点、年代によって違い

スマホ決済のサービスはたくさんありますが、みなさんどのようなことを重視して選んでいるのでしょうか?重視点を聞いてみました。
調査の結果、全体のトップは「セキュリティがしっかりしていること」男性よりも女性の方が重視する傾向でした。続いて多かったのは「入金・チャージが簡単なこと」。使う機会が多いので、入金の操作が簡単なことは大事なポイントになっているようです。
ただし、重視する点は年代により異なっており、20~30代では「たくさんのお店で使えること」「特典やポイントの還元率がいいこと」が1位、2位となりました。
40代以上では「セキュリティがしっかりしていること」が1位となり、セキュリティ面での安心感を後押ししそうな「運営会社がしっかりしていること」という理由は60代で5位にランクインしました。
50~60代では「入金・チャージが簡単なこと」も2位となり、使い勝手やわかりやすさも重視されていることがわかります。

8_年代別_スマホ決済で重視する点

2020年は、スマホ決済の利用率、それに利用回数について大きな上昇がみられました。
個人間送金サービスの対象アプリの増加や各スマホ決済サービスの対象店舗拡大に伴い、スマホでお金のやりとりを行うことが日常的になってきた様子です。マイナポイントのキャンペーン延長やコロナ禍によるキャッシュレス決済の利用促進により、今後もさらに普及していくことが予想されます。
昨年調査の結果はコチラから

【調査について】

2020年12月度調査
LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国 男女
実施時期:2020年12月21日~12月25日
有効回収数:560,620サンプル
集計対象:有効回収数の中からランダム抽出した男女15-69歳の48,648サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック


2019年12月度調査
LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国 男女
実施時期:2019年12月21日~12月25日
有効回収数:576,670サンプル
集計対象:有効回収数の中からランダム抽出した男女15-69歳の48,851サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック


2018年12月度調査
LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国 男女
実施時期:2018年12月20日~12月28日
有効回収数:531,170サンプル
集計対象:有効回収数の中からランダム抽出した男女15-69歳の48,639サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック


※表/グラフ中の数字は小数点以下第一位または第二位を四捨五入しているため、合計しても100%にならないことがあります

【調査データの引用・転載について】

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