私たちは「モノ」や「サービス」を選択する際、「みんなが使っているかどうか」を目安にすることがあります。「みんな」とは果たして誰でしょう?よく考えると極めて曖昧なイメージであり、感覚的なものであることがわかります。しかしその空気が私たちの行動を決める1つの要因になっているのも確かなことです。
本シリーズでは「みんなが使っている」という空気感を頼りに、今と近未来の流行の予想をしてみたいと思います。

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3回目は新型コロナウイルスの感染拡大で注目が高まっている、「オンライン診療」を取り上げます。どのくらい普及しているのかという現状から、これから先の流行がどうなっていくのかを探っていきます。 

◆Topics◆

1.オンライン診療の現状と認知度
2.どのくらいの人が使ってそう?~現在の流行体感~
3.1年後はどうなるか~近未来の流行予想~
4.自分は使ってみたいか?~今後の利用意向~
5.オンライン診療は、今の10倍伸びる!?

1.オンライン診療の現状と認知度

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「オンライン診療」とは、病院などの医療機関には直接行かず、自宅や外出先などから医師の診察や診断を受けられる医療サービスです。スマホやパソコンを使って予約・受付を行い、支払いはクレジットカードを利用するため、インターネット上で完結できます。処方箋は薬局へFAXなどで送ってもらえるほか、処方薬を自宅に郵送してもらうことが可能な場合もあります。現在は新型コロナウイルスによる特例措置として、初診からオンライン診療の保険適用が認められています。

「オンライン診療」サービスの現状について調査したところ、主な結果は以下でした。


・「オンライン診療」の認知率は全体で72%

・「知っているし、使っている」という現在利用率については全体で2%

・「知っているし、以前使っていたが、いまは使っていない」を含めた利用経験率は全体で3%



男女別では、女性のほうが男性に比べて認知率が高く、上の年代のほうが認知率も高くなっています。特に30~50代女性では、8割近い認知率であることがわかりました。実際にサービスを利用している「現在利用率」については、実際にサービスを利用している、または利用していた「現在利用率」と「利用経験率」の合計は3~5%と少数にとどまり、男女差・年代差はほぼみられませんでした。


2.どのくらいの人が使ってそう?~現在の流行体感~

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※【3/12追記】掲載時点のグラフn数に誤りがあり更新いたしました

次に「オンライン診療」を利用している人が、現在身の回りにどれくらいいると思うかを想像して答えてもらいました。グラフにある流行体感スコアは、100人中どのくらいの人が利用していそうかをスコアとして算出した数値です。

その結果「オンライン診療」の流行体感スコアは全体で「2.6」。およそ100人に2~3人が利用しているイメージです。最も高いスコアとなったのは、10~20代の男性で「3.8」でした。若い男性の間では、周りの人がオンライン診療を使っていそう、という認識が他の層より強いようです。

3.1年後はどうなるか~近未来の流行予想~

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次に「1年後、自分のまわりでどのくらいの人が使っていると思うか」を想像して回答してもらいました。グラフにある流行予想スコアは、100人中何人が使ってそうかを算出した数値です。

「オンライン診療」の流行予想スコアは全体で「27.1」で、およそ4人に1人が1年後に利用していそうというイメージ。現在の流行体感から比較すると、1年後には今よりも約10倍浸透しているというイメージになります。

1年後に利用していそう/していなさそうと思う、それぞれの意見を聞きました。
流行予想として「半数くらいの人が利用するだろう」と思う人の意見

・病院に行く必要がなくなるし、他の患者と接触することもなく、感染症のリスクが減る(女性/44歳)

・コロナ禍が続きそうだし、オンライン〇〇というシステムもかなり発達してきたから(女性/21歳)

・現在の環境を含め、選択肢が増えるのはよいことだと思う(男性/57歳)
流行予想として「誰も利用しないであろう」と思う人の意見

・どこの病院でどのように受診できるかの情報が入ってこないから(女性/33歳)

・実際に手を当てて診てもらう安心感には代えられない(女性/54歳)

・スマホやパソコン操作についていけない人がいるから。今の20代が年をとった頃には、当たり前の世の中になっているかも(男性/49歳)


4.自分は使ってみたいか?~今後の利用意向~

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次に、自身の今後の利用意向について回答してもらいました。 利用意向がある人の割合(「ぜひ使ってみたいと思う」、「機会があれば使ってみたいと思う」の合計)は全体で51%でした。利用意向がある人は全体の約半数と、オンライン診療に対する積極的な姿勢が感じられます。

一方、利用意向がない人の割合(「あまり使ってみたいと思わない」、「まったく使ってみたいと思わない」の合計)は全体で26%でした。

男女別でみると、利用意向がある人の割合は女性のほうが男性に比べて高くなっています。利用意向の有無での理由は以下の通りです。
利用意向がある人の意見

・病院に行くのが面倒だったことがあるので、手軽に診療を受けられるのは助かる(女性/18歳)

・耳鼻咽喉科などが混んでいるので使ってみたい(女性/50歳)

・感染症などを人にうつしてしまう、もしくはうつされる心配がない(男性/23歳)

・診察室の前で知り合いと会いたくないため利用したい(男性/48歳)
利用意向がない人の意見

・症状が言葉だけで伝えられるか不安だから。触診など、対面でしかわからない部分もあるから(女性/33歳)

・医師に直接会って診てもらうほうが安心できるから(男性/30歳)

・オンラインで人と会話するのは直接話すより体力・集中力が必要。体調が悪いときには不向きだと思う(男性/26歳)

・痛みやつらさなどがうまく伝わるかわからないし、レントゲンや血液検査などを受けに行くのなら二度手間では(女性/52歳)


5.オンライン診療は、今の10倍伸びる!?

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ここまでの主要な数値をまとめてみました。 2021年1月16日時点、サービスの認知率は全体で約72%、現在利用率は約2%でした。

流行体感としては、全体で‟100人に2~3人くらいが使っている”イメージを持たれているようです。そして、今から1年後には‟現在の10倍程度の人が利用しそう”というイメージを持たれています。


コロナ禍において需要が高まり、認知が広がった「オンライン診療」サービス。患者が病院に直接行かないことで各種感染リスクを抑制することにつながり、オフライン診療の弱点ともいえる「長い待ち時間」や「体調が悪いときの移動のつらさ」などの解消につながる可能性も。さらには、病院に行かなくても健康相談ができるなどのメリットも挙げられています。オンライン診療に伴う課題が解決されていくことで、今後さらに定着していくのか注目していきたいですね。


【調査について】

LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国の18~59歳男女
実施時期:2021年1月16日~17日
有効回収数:2089サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック
※表/グラフ中の数字は小数点以下第一位または第二位を四捨五入しているため、合計しても100%にならなかったり、同じパーセンテージでも見え方が異なる場合があります

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