「働き方」をテーマにした調査の3回目の今回は『副業/兼業の現状とこれから』についてお届けします。有職者*1を対象に副業/兼業*2をしている人はどのくらいいるのか、実際にどのような仕事をしているのかを聞いてみました。また、副業/兼業をしている(今後したい)理由についてもご紹介します。年代や業種によってどのような違いがあるのかみていきましょう。

*1 経営者、会社員、公務員、自営業、自由業、パート・アルバイトの方が対象
*2 本業以外の仕事、複数の仕事で収入を得ること

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◆Topics◆

1. 副業/兼業が「許可されていない」が4割、条件付きの許可を含め「許可されている」は4割
2. 副業/兼業は「いまはしていないが、いつかはしたい」がもっとも高く4割弱
3. 副業/兼業で人気のジャンルは「サービス業」「ポイ活」「株/FX」が上位
4. 副業/兼業を今後したい理由の1位は「収入を増やしたいから」

1. 副業/兼業が「許可されていない」が4割、条件付きの許可を含め「許可されている」は4割

18歳~59歳の男女のなかで有職者を対象に勤務先から副業/兼業を許可されているかどうか聞いてみました。

全体では、「許可されていない」がもっとも高く4割でした。「全面的に許可されている」「条件付きで許可されている」はそれぞれ2割となっています。

業種別の傾向をみてみると、「全面的に許可されている」のは【飲食サービス】が顕著に高く約5割、次いで【小売】【物流 / 倉庫】が3割弱となっています。これらの仕事はシフト制が多く導入されていることもあり、スケジュールが組みやすいということも影響しているのかもしれません。
また、「条件付きで許可されている」のは【IT / 通信 / ソフトウェア】【金融 / 保険】で3割前後という結果でした。また、「全面的に許可されている」と「条件付きで許可されている」を合わせた『許可されている計』では、【飲食サービス】で6割超、【IT / 通信 / ソフトウェア】【小売】で5割弱となっています。

一方で、「許可されていない」のは【金融 / 保険】がもっとも高く5割超でした。【運輸 / 交通】【商社 / 卸売】【教育 / 学習支援】【製造 / メーカー】においても5割弱と高めです。労働時間の管理の難しさや長時間労働への懸念、また本業との兼ね合いやリスク回避のため認められないなど、企業の方針によって難しいケースもありそうです。

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2. 副業/兼業は「いまはしていないが、いつかはしたい」がもっとも高く4割弱

続いて、実際に副業や兼業をしているか、また、していない方には今後してみたいかどうか聞いてみました。

全体では、「いまはしていないが、いつかはしたい」が4割弱でもっとも高くなっています。「している」や「いまはしていないが、近いうちにしたい」はそれぞれ1割程度でした。
一方で「いましておらず、今後もしたいと思わない」という人も3割超いることがわかりました。

女性は「いましておらず、今後もしたいと思わない」という割合が男性に比べて高く、男性は「いまはしていないが、近いうちにしたい」が女性に比べてやや高い傾向にありました。

年代別でみると、20代以下と30代では、「いまはしていないが、いつかはしたい」が4割超となり、「いまはしていないが、近いうちにしたい」を合わせた『してみたい計』ではそれぞれ5割超でした。これらの年代は副業や兼業への意向は高く、時間やタイミングが合えば検討する可能性があるといえるかもしれません。年代が上がるほど、「いましておらず、今後もしたいと思わない」の割合が高くなる傾向で、特に50代では約4割となっています。
また、すでに副業や兼業を「している」の割合は年代で大きな差はありませんでした。

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業種別にみると、前項でも勤務先が全面的に副業や兼業を許可している割合が高かった【飲食サービス】では「している」の割合が他の業種よりも高く、約2割となっています。今後の意向に該当する項目「いまはしていないが、近いうちにしたい」と「いまはしていないが、いつかはしたい」を合わせた『してみたい計』では、【IT / 通信 / ソフトウェア】【商社 / 卸売】【製造 / メーカー】【金融 / 保険】が5割台となっています。このなかでも【商社 / 卸売】【金融 / 保険】は現状では勤務先から許可されていないという回答が5割前後でしたが、副業や兼業への意向は高いようです。

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3. 副業/兼業で人気のジャンルは「サービス業」「ポイ活」「株/FX」が上位

次に、副業や兼業をしている人を対象にどのようなことをしているのか聞いてみました。

全体では、「サービス業」が1位で2割超でした。サービス業は飲食店やコンビニ、スーパーなど生活圏内にあったり、求人も多かったりと、働きやすい環境ともいえそうです。次いで「ポイ活 (ポイント活動)」が2位、「株 / FX」が3位と続きます。これらは、普段の買い物などで簡単にできたり投資意向の高まりもあり、副業として取り組んでみる人が一定層いるのかもしれません。

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続いて、年代別の傾向をみていきましょう。
20代以下では、「ポイ活(ポイント活動)」が2割超で1位となり、他の年代に比べて割合が高くなっています。広告をクリック、買い物でポイントを得ることができるので手軽にできるところもいいのかもしれません。また、割合は低いものの、YouTubeやTikTokなどの「動画配信」も4位に入っています。
20代以下、30代では、「株/FX」が3位で、特に男性の割合が高くなっています。最近では少額から投資できるもの、つみたてNISA(積立NISA)など様々な商品があり若年層にとっても身近に始められる副業のひとつになってきているようです。
40代以降では、「軽作業」が2位になっています。働く時間や曜日を選べることが多くシフトが調整しやすいのも利点で本業との両立が比較的しやすいのかもしれません。

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4. 副業/兼業を今後したい理由の1位は「収入を増やしたいから」

最後に、すでに副業や兼業をしている人、今後してみたいと思っている人にその理由を聞きました。

全体では、「収入を増やしたいから」が圧倒的に高く7割超でした。本業の収入にプラスして収入を増やしたいというのが理由のようです。次いで、「自分の知識や視野を広げたいから」「空いている時間があるから」が2割弱で続きます。
4位以降では、「新しいことをしたいから」「スキルを身につけたいから」などの新しいことにチャレンジ、スキルアップ関連の項目が入っています。
また、「違う仕事 / 業種を経験してみたいから」が5位に入っており、本業とは違うことをしてみたいと思う人もいるようです。その他にも「自分のスキルを活かしたいから」「自分の力を試してみたいから」という自身の実力を試してみたいという理由もみられました。

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年代別をみると、20代以下では、「好きなことを活かしたいから」「違う仕事 / 業種を経験してみたいから」が挙がっています。自分が好きなこと、本業とは違った仕事内容などができることがしたい理由となっているようです。
20代以下、30代では、「自分の知識や視野を広げたいから」が2割超で2位に入っており、他の年代に比べて割合が高くなっています。年代が若いほど、各項目の割合が高くなる傾向ですが、「空いている時間があるから」は40代以降でやや割合が高めでした。子育てなども落ち着く年代でもあり、時間に余裕ができるのかもしれません。

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今回は「副業/兼業」の現状、どのような仕事をしているのか、また、副業や兼業をしている理由などについてみてきました。副業や兼業を全面的に許可している企業は約2割となり、実際にしている人の割合も低い結果でした。しかし、将来的にはしてみたいという人も一定層いることがわかりました。そして、副業や兼業をしている人は年代によって仕事内容やその理由の傾向に違いもみられました。今後の多様な働き方がどのように広がっていくのか注目していきたいですね。


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【調査について】

LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国の18~59歳男女
実施時期:2022年7月19日~21日
有効回収数:454,712サンプル
集計対象:有効回収数の中からランダム抽出した男女18~59歳の43,320サンプルのうち、有職者は32,741サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック
※表/グラフ中の数字は小数第一位または第二位を四捨五入しているため、合計しても100%にならなかったり、同じパーセンテージでも見え方が異なったりする場合があります

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