金融に関する知識を身につけることを目的とした『金融教育』。2022年4月からは高校で金融教育必修化となり、年々注目が高まってきています。LINEリサーチでは、全国15歳~69歳の男女を対象に金融についての勉強に関する調査を行いましたのでその結果をご紹介します。

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◆Topics◆

1.金融について勉強経験ありは3割強。勉強手段は「ネットの記事やブログ」が4割弱
2.金融について勉強したいと思う人は約半数。男女とも20、30代が高い傾向
3.⾦融の勉強におけるハードルは「情報が多すぎて何が正しいかわからない」
4.勉強したい理由は「将来のお金に不安があるから」が5割超
5.「投資に関する基本知識」「税金の種類/節税対策」などが勉強したいことの上位

1.金融について勉強経験ありは3割強。勉強手段は「ネットの記事やブログ」が4割弱

はじめに、金融についての勉強をしたことがあるかを聞きました。
  ※以下の分野のようなお金についての知識を身につけることと定義
注釈2

金融についての勉強は、「いま、している」人は全体で1割強、「以前していたが、いまはしていない」が約2割となっています。また、「これまでに一度もしたことはない」という人が6割台後半となり、勉強経験のない人が多い状況です。
男女別の傾向でみると「これまでに一度もしたことがない」という人は、男性では約6割、女性では7割超と女性でより高い傾向となりました。

勉強実態

グラフにはありませんが、【勉強経験がある】人に勉強の方法や手段を聞いたところ、「インターネットの記事やブログを読む」がもっとも高く4割弱、次いで「本を読む」が3割台後半となりました。
男性は女性に比べて「YouTubeを見る」や「本を読む」が10ポイント以上高くなりました。通勤時間などを使ってインプットしているのかもしれません。女性は、「家計簿をつける」や「家族や友だち・知り合いの話を聞く」が男性に比べて高くなっています。
※金融についての勉強を「いま、している」、「以前していたが、いましていない」の計

2.金融について勉強したいと思う人は約半数。男女とも20、30代が高い傾向

次に、今後(も)、金融について勉強をしたいと思うかを聞いたところ、「とてもそう思う」が2割弱、「ややそう思う」が3割超となり、これらを合わせた【勉強したいと思う】人は半数以上となりました。「あまりそう思わない」、「まったくそう思わない」を合わせた【勉強したいと思わない】人は、2割台となっています。 男女でみると、分布には大きな差はみられず、男女ともに半数以上が金融についての勉強意向があることがわかります。

年代別でみてみると、特に20代、30代で「とてもそう思う」の割合が高く2割台後半となりました。【勉強したいと思う】人は20代の6割超をピークに年代が上がるにつれて減少し、上の年代では「どちらともいえない」や「あまりそう思わない」の割合が増加する傾向となっています。

勉強意向


3.⾦融の勉強におけるハードルは「情報が多すぎて何が正しいかわからない」

勉強意向のある人は半数以上となりましたが、いま金融について勉強している人は前述のとおり1割強にとどまります。勉強するにあたりどのようなことがハードルになっているのでしょうか。ここでは、勉強をしたいと思う人、どちらともいえないという人も含めて回答してもらいました。

全体では「情報が多すぎて何が正しいか/何を信じていいかわからない」、次いで「何から始めていいかわからない」といった点が大きなハードルとなっているようです。

男女でみてみると、男性は「情報が多すぎて何が正しいか/何を信じていいかわからない」がもっとも高く3割超。次いで、「何から始めたらいいかわからない」、「勉強する時間がない」が2割台の僅差で続きます。「何から始めたらいいかわからない」は特に10代、20代で高い傾向となりました。
女性も、「情報が多すぎて何が正しいか/何を信じていいかわからない」がもっとも高く、次いで「何から始めたらいいかわからない」が4割弱と僅差で続く結果となっています。男性と同じTOP2ですが、「何から始めたらいいかわからない」は男性に比べ10ポイント以上高くなっています。また、「勉強の仕方がわからない」も3割台となっており、必要な情報、勉強の始め方や勉強方法などいろいろな点についてわからないという不安要素が男性よりも大きい様子です。

ハードル

4.勉強したい理由は「将来のお金に不安があるから」が5割超

勉強したいと思う理由はどのようなものなのでしょうか。【勉強したいと思う】人に聞きました。
全体では、「将来のお金に不安がある」、「お金に関する無駄をなくしたい」が5割前後、次いで、「豊かな生活を送りたい」の3項目がTOP3となりました。

年代別でみても、全体TOP3の項目は多くの年代で上位となっていますが、特に30代~50代で「将来のお金に不安がある」が5割台と高くなっています。家庭を持っている人が多い年代ということも影響しているかもしれません。また、資産の増やし方にも興味を持っている様子がわかります。5位以内には入りませんでしたが、30代、40代では「子供の将来に備えたい」「子供に教えたい」といった項目が他の年代に比べ高い傾向となりました。
一方、10代では、全体1位の「将来のお金に不安がある」は、5位以内には入りませんでした。10代、20代では、「金融や経済について知るべきだと感じている」や「お金に関するリスク管理をしたい/トラブルにあいたくない」の項目が上位に入っており、リスクを回避や現状を理解したいという目的もあるのかもしれません。

勉強理由

グラフはありませんが、男女での違いの特徴としては、「家計を適切に管理したい/見直したい」や「お金に関する無駄をなくしたい/損をしたくない」は女性が男性に比べ9ポイント以上高くなりました。男性は「金融や経済に興味がある」や「資産を増やす方法について、もっと詳しくなりたい」が女性に比べ高くなりました。

5.「投資に関する基本知識」「税金の種類/節税対策」などが勉強したいことの上位

次に、【勉強したいと思う】人が、金融についてどのようなことを勉強したいのかをみていきます。

全体では「投資に関する基本知識」「税金の種類/節税対策」「資産形成の手段・方法」が4割台となりTOP3となりました。

年代別では、10代で「経済の仕組み」がもっとも高く1位「お金に関するトラブルの対処法」が4位に入っています。5位以内には入りませんでしたが、10代は「ローン/借り入れの仕組み」が3割強と、ほかの年代より10ポイント以上高くなりました。18歳で成年となり様々な契約ができるようになる一方で正しく知っておきたい、トラブルにあいたくないといった気持ちもあるのかもしれません。
20代と60代では「税金の種類/節税対策」がTOPとなっています。20代では、会社勤めなどで節税を意識したり、60代では相続税などが気になったりするのかもしれません。30代~50代で、「投資に関する基本知識」「資産形成の手段・方法」「税金の種類/節税対策」が上位となり、特に30代では高い割合となりました。

勉強項目


グラフはありませんが、男女別では、男女ともにTOP3は同じ項目となりました。女性は男性に比べ「保険などの選び方・見直し方」や「貯蓄の種類・内容」「ライフプランニング」の項目が高くなっています。男性は「日本や世界経済の動向」や「投資型商品の知識」の項目が高くなっています。


金融について勉強をしたいと思う人は半数以上と多く、勉強への意向が強いことがわかります。しかしながら、まだまだ様々なハードルや不安ごとがあり、実際に行動に移せずにいる人が多い様子です。学校教育が進んだり、ハードルとなっている不安を解消できるようなサービスやコンテンツが浸透していけば、今後、金融についての勉強を多くの人が取り入れるかもしれません。これからも注目していきたいですね。


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【調査について】

LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国 男女
実施時期:2022年12月21日~12月23日
有効回収数:546,475サンプル
集計対象:有効回収数の中からランダム抽出した男女15-69歳の47,004サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック
※表/グラフ中の数字は小数第一位を四捨五入しているため、合計しても100%にならなかったり、同じパーセンテージでも見え方が異なったりする場合があります


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