私たちは「モノ」や「サービス」を選択する際、「みんなが使っているかどうか」を目安にすることがあります。「みんな」とは果たして誰でしょう?よく考えると極めて曖昧なイメージであり、感覚的なものであることがわかります。しかしその空気が私たちの行動を決める1つの要因になっているのも確かなことです。
本シリーズでは「みんなが使っている」という空気感を頼りに、今と近未来の流行の予想をしてみたいと思います。


27回目は「オーディオブック」を取り上げます。書籍を音声形式で提供するサービスで、本の内容を朗読で聴きたい人や、移動中などの時間を有効活用したい人などに利用されています。どのくらい普及しているのかという現状から、これから先の流行がどうなっていくのかを探っていきます。
◆Topics◆
1.「オーディオブック」の現状と認知度2.どのくらいの人が利用していそう?~現在の流行体感~
3.1年後はどうなるか~近未来の流行予想~
4.自分は利用してみたいか?~今後の利用意向~
5.「オーディオブック」は今より3倍以上伸びる!?
1.「オーディオブック」の現状と認知度
「オーディオブック」は、本を朗読する音声コンテンツで、Audibleやaudiobook.jpなどの代表的なサービスがあります。月額制や聴き放題などのプランもあり、本を持ち歩く必要がないためスキマ時間を活用したり、活字が苦手な人も本の内容を楽しんだりすることができます。
「オーディオブック」の現状について調査したところ、主な結果は以下でした。
・「オーディオブック」の認知率は全体で59%
・「知っているし、利用している」という現在利用率は全体で2%
・「知っているし、以前利用していたが、いまは利用していない」を含めた利用経験率は全体で6%
「オーディオブック」の認知率は、全体で6割弱でした。男女別で比較すると、男女ともに59%で同率という結果に。年代別では10~20代のほうが30~50代よりも高い認知率で、もっとも高いのは10~20代男性で67%となりました。
「知っているし、利用している」という現在利用率は全体で2%、「知っているし、以前利用していたが、いまは利用していない」を含めた利用経験率は全体で6%となっています。男女ともに利用経験率は低いものの男性のほうがやや高く、10~20代男性では11%でした。現在利用率では、男女、年代別で大きな差はみられませんでした。
2.どのくらいの人が利用していそう?~現在の流行体感~
次に、「オーディオブック」を利用している人が、現在身の回りにどれくらいいると思うかを想像して答えてもらいました。グラフにある流行体感スコアは、100人中どのくらいの人が利用していそうかをスコアとして算出した数値です。
その結果「オーディオブック」の流行体感スコアは全体で「5.9」で、およそ17人に1人が利用しているイメージを持たれていることがわかります。男女別では大きな差はなく、年代別にみると、女性は30~50代よりも10~20代のほうが若干高めのスコアとなっています。
3.1年後はどうなるか~近未来の流行予想~
次に、「1年後、自分のまわりでどのくらいの人が利用していると思うか」を想像して答えてもらいました。 グラフにある流行予想スコアは、100人中どのくらいの人が1年後に利用していそうかを算出した数値です。
「オーディオブック」の流行予想スコアは全体で「20.7」で、およそ5人に1人が1年後に利用していそうというイメージ。現在の流行体感から比較すると、1年後には今の約3倍以上浸透しているというイメージになります。
男女別にみると、女性のほうが男性に比べてスコアが若干高くなっていました。年代別では、男女ともに年代による差はみられませんでした。どの層でも、現在よりも流行していくと予想しているようです。
「オーディオブック」を半数くらいの人が利用していそう/ほぼ誰も利用しないであろう、それぞれの意見をご紹介します。
■流行予想として「半数くらいの人が利用していそう」と思う人の意見「時間を有効に使えるので、この先も需要が高まってくると思う」(18歳/男性)
「最近、テレビCMなどでもオーディオブック関連のCMが流れていて、徐々に利用者が増えていくと思うから」(19歳/男性)
「コンテンツの充実や、学習教材としての定着があるのかもしれないと思いました。主に若い世代の利用が増えそうです」(31歳/女性)
「本を買わなくてもよく、朗読してくれるので、特に年配の人にオススメだから」(43歳/男性)
「現在知っている限りは若い人が利用している様に思うが、自分が今興味を持っているということは、同年代の人も多く活用するのではないかと考えて」(59歳/女性)
■流行予想として「ほぼ誰も利用しないであろう」と思う人の意見「個人的な意見だが、書籍を音で聞くメリットがあまりないと思うから。デジタル化の時代だが、オーディオブックではなく普通に電子書籍がメジャーだと思う」(18歳/女性)
「聞くよりも読むほうが自分のペースでかみ砕けるため内容を理解しやすく記憶にも残りやすい印象があり、また聞くなら本よりも音楽を優先する人が多そうだから」(21歳/男性)
「音楽と違い聞き流しができない分『ながら』での使用が難しいと思っているのでそこまで浸透しないと思っている」(39歳/男性)
「数年前からオーディオブックって言葉は知っていたけど、まわりや家族でも使っていると聞いたことがないから」(44歳/女性)
「若い人は便利で使うかもしれませんが、年配者はそもそも使い方がわからず不安」(58歳/女性)
4.自分は利用してみたいか?~今後の利用意向~
次に、今後の利用の意向について回答してもらったところ、利用意向がある人の割合(「ぜひ利用してみたいと思う」「機会があれば利用してみたいと思う」の合計)は全体で29%となりました。
全体でみると女性のほうが男性よりもやや高めの割合です。年代別では、男女ともに10~20代のほうが30~50代よりも利用意向がある人の割合が高くなっていました。
一方、利用意向がない人の割合(「あまり利用してみたいと思わない」「まったく利用してみたいと思わない」の合計)は、全体で47%でした。
「オーディオブック」の利用意向がある人/ない人、それぞれの意見をご紹介します。
■「利用意向あり」の人の意見「移動時間に車酔いせず本の内容を知ることができるから」(18歳/女性)
「何かほかのことをしながら本の内容を耳から取り入れられると、時間を有効活用できそうだと思ったから」(23歳/男性)
「活字で読むのとは違う楽しみを味わってみたい。また、オーディオブックならではの作品との出会いがありそうだから」(27歳/女性)
「声優さんが朗読しているような本はオーディオブックならではの価値があると思うため」(38歳/男性)
「読書が好きなのだが眼精疲労がひどく頭痛になることが多いので、そう言う時は読んでもらうのもよいのかなと時々思うから」(53歳/女性)
■「利用意向なし」の人の意見「音声で聞くより自分で読んだほうがはやく、また何かしながらで聞いても頭に入ってこないから」(19歳/男性)
「文字を読むほうが情報が頭に入るし、気になったところを戻って読めるから」(29歳/女性)
「どの場面で使用すればよいかわからない」(37歳/女性)
「読書は紙媒体(あるいは電子書籍)で、気になったところに印をつけておきたいから」(37歳/男性)
「文字のほうが主人公や憧憬がイメージしやすい」(55歳/男性)
5.「オーディオブック」は今より3倍以上伸びる!?
ここまでの主な数値をまとめてみました。2023年9月21日時点、「オーディオブック」の認知率は59%、現在利用率は2%でした。
流行体感としては、“およそ17人に1人が利用している”イメージを持たれているようです。そして、今から1年後には、現在の3倍以上にあたる“およそ5人に1人くらいが利用していそう”というイメージを持たれています。
男女年代別にみると、利用意向は男性よりも女性のほうが高く、年代別では10~20代が高くなっていました。また、流行体感スコアでは、大きな差は見られませんでしたが、女性10代~20代が、30~50代に比べ若干高い傾向となりました。
1年後の流行予想スコアでは、女性のほうが男性に比べてスコアが若干高くなりましたが、年代別で大きな差はみられませんでした。
「オーディオブック」は、全体で6割弱の人が認知していますが、現在利用している人は2%にとどまっています。「時間を有効に使える」「声優の朗読は本と異なる価値がある」といった意見がみられる一方で、「文字で読むほうがわかりやすい」「何かをしながら聴くのは頭に入らない」といった声もありました。今後オーディオブックの認知・利用がどのくらい広がっていくのか注目したいところです。
【調査について】
LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国の18~59歳男女
実施時期:2023年9月21日~2023年9月25日
有効回収数:2110サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック
※表/グラフ中の数字は小数第一位または第二位を四捨五入しているため、合計しても100%にならなかったり、同じパーセンテージでも見え方が異なったりする場合があります【調査データの引用・転載について】
調査データの引用・転載の際は、必ず「出典:LINEリサーチ」と明記いただけますようお願いいたします。引用・転載先がWebページ(メディア/ブログ等)である場合には、該当ブログ記事のURLをリンクしてご掲載ください。
報道関係者様による引用の場合、利用・掲載状況の把握のため報道関係のお客様からのお問い合わせまでご連絡いただけると幸いです。
【LINEリサーチについて】
『リサーチノート』はLINEリサーチが運営する調査メディアです。LINEリサーチでは600万人を超える豊富なモニターによりテーマごとに様々な調査が可能です。スマートフォン調査をお考えの場合は、お気軽にご相談・お問合せください。